恒星間ボトルメール

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【不整脈ほか】週刊医学クイズハードモード(8 ~ 14)

医学クイズを7題出題します。ハードモードです。

問題編

(8) 循環器・心周期

心周期の期区分を4つ順に答えよ。

(9) 循環器・心エコーMモード

僧帽弁Mモードが診断に有用な疾患、左室Mモードが診断に有用な疾患をそれぞれ答えよ。

(10) 循環器・虚血性心疾患

虚血性心疾患の分類と検査、治療についてそれぞれ述べよ。

(11) 循環器・左心カテーテル

左心カテーテルの主なアプローチ部位と測定可能なものをそれぞれ答えよ。

(12) 循環器・労作性狭心症

労作性狭心症の診断と薬物治療を答えよ。

(13) 循環器・不整脈総論

頻脈性不整脈を8つ(上室性5つ、心室性3つ)、徐脈性不整脈を2つ、その他の不整脈を3つ挙げよ。

(14) 循環器・心不全

心不全と右心不全の所見をそれぞれ答えよ。

解答・解説編

(8) 循環器・心周期

心周期の期区分を4つ順に答えよ。

充満期→等容性収縮期→駆出期→等容性弛緩期

解説

充満期でM弁が閉じると等容性収縮期が始まる。十分に左室圧が上がるとA弁が開いて駆出期が始まりA弁が閉じて等容性弛緩期が始まる。十分に左室圧が下がるとM弁が開き充満期が始まる。

(9) 循環器・心エコーMモード

僧帽弁Mモードが診断に有用な疾患、左室Mモードが診断に有用な疾患をそれぞれ答えよ。

左室Mモード:左室拡大と収縮不全で拡張型心筋症(DCM)

僧帽弁Mモード:僧帽弁収縮期前方運動(SAM)で閉塞性肥大型心筋症(HOCM)

解説

Mモード心エコー法でA弁、M弁、左室の運動の経時的変化を画像化。M弁Mモードでは拡張期の急速流入期と心房収縮期の様子を観察できる。

(10) 循環器・虚血性心疾患

虚血性心疾患の分類と検査、治療についてそれぞれ述べよ。

分類:冠攣縮性狭心症(異型狭心症)、労作性狭心症、急性冠症候群(不安定狭心症心筋梗塞)。

検査:12誘導心電図(23aVFは下壁RCA、V1~4は前壁LAD、aVL1V5~6は側壁LCX)、心筋マーカー(トロポニンT、CK-MB)、心エコー、冠動脈造影(CAG)、ホルター心電図、運動負荷心電図、冠動脈CT。

治療:抗狭心症薬(硝酸薬、Ca拮抗薬[ベラパミル]、β遮断薬[プロプラノロール])、抗血小板薬、スタチン、PCI、CABG。

解説

安定プラークは労作性狭心症、不安定プラークは不安定性狭心症。心筋壊死ありが心筋梗塞、なしが不安定狭心症。ST上昇するのは異型狭心症心筋梗塞PCIはPerCutaneous Coronary Intervention。CABGはCoronary Artery Bypass Grafting。

(11) 循環器・左心カテーテル

左心カテーテルの主なアプローチ部位と測定可能なものをそれぞれ答えよ。

アプローチ部位:橈骨動脈、上腕動脈、大腿動脈

測定可能なもの:大動脈圧と左室圧、左室造影、大動脈造影、冠動脈造影(CAG)

解説

A弁より頭側にあるValsalva洞から冠動脈が出る。A弁のうち背側にあるのが無尖弁。

(12) 循環器・労作性狭心症

労作性狭心症の診断と薬物治療を答えよ。

診断:運動負荷心電図、心筋シンチグラフィ、冠動脈造影(CAG)、冠動脈CT

薬物治療:発作時には硝酸薬の舌下投与、非発作時には硝酸薬、Ca拮抗薬、β遮断薬、抗血小板薬(動脈血栓を防ぐ)、スタチン

解説

労作性狭心症でSTは低下、心筋マーカーは陰性。放散痛は背部と肩部。抗狭心症薬のうち硝酸薬は冠動脈を拡張すると同時に静脈を拡張し静脈還流料を下げる。Ca拮抗薬は冠動脈の攣縮を予防すると同時に細動脈を拡張し血圧を下げ、心筋収縮力と心拍数を下げる。Β遮断薬は心筋収縮力と心拍数を下げる。

(13) 循環器・不整脈総論

頻脈性不整脈を8つ(上室性5つ、心室性3つ)、徐脈性不整脈を2つ、その他の不整脈を3つ挙げよ。

上室性頻脈性不整脈:洞頻脈、心房期外収縮APC)、発作性上室性頻拍(PSVT)、心房粗動(AFL)、心房細動(AF)

心室性頻脈性不整脈心室期外収縮VPC)、心室頻拍(VT)、心室細動(VF)

徐脈性不整脈:洞不全症候群(SSS)、房室ブロック

その他の不整脈WPW症候群、QT延長症候群、Brugada症候群

解説

不整脈の心電図を見るポイントはPQ間隔(0.2秒以上で延長)、QRS幅(0.12秒以上でwide)、QT間隔(RR間隔の半分を超えると延長)。PSVTには房室回帰性頻拍(AVRT、WPW症候群と関係が深い)、AVNRT(房室結節リエントリー頻拍)、SNRT(洞結節リエントリー頻拍)、AT(心房頻拍)がある。心停止の4つの病態のうち、電気ショックの適応はVFとpulseless VTのみ。

(14) 循環器・心不全

心不全と右心不全の所見をそれぞれ答えよ。

心不全:心拍出量低下により血圧低下、四肢冷感、意識低下。肺うっ血により夜間呼吸困難、起坐呼吸、ピンク色泡沫状痰、肺野で水泡音(coarse crackles )。また3音と4音。

心不全:頸静脈怒張、肝腫大、下腿浮腫、胸水・腹水

解説

心機能低下の代償機構は交感神経とRAA系。右心不全のみをきたすのは心タンポナーデ、収縮性心膜炎、原発性肺高血圧症、肺塞栓。3音は左室の容量負荷で出現。4音は左室の圧負荷で出現。水泡音は呼吸音の副雑音のラ音(胸腔内に由来する異常呼吸音)の断続音の水泡音。

まとめ

心周期は充満期→等容性収縮期→駆出期→等容性弛緩期


拡張型心筋症(DCM)では左室Mモードで左室拡大と収縮不全。 閉塞性肥大型心筋症(HOCM)ではM弁Mモードで僧帽弁収縮期前方運動(SAM)。


虚血性心疾患の分類は異型狭心症、労作性狭心症、急性冠症候群(不安定狭心症心筋梗塞)。 検査は12誘導心電図、心筋マーカー、心エコー。 治療は抗狭心症薬(硝酸薬、Ca拮抗薬、β遮断薬)、スタチン、抗血小板薬、PCI、CABG。


左心カテーテルは橈骨動脈や上腕動脈、大腿動脈からアプローチし、大動脈圧や左室圧を測定したり大動脈造影や冠動脈造影、左室造影をしたりできる。


労作性狭心症の診断は運動負荷心電図、心筋シンチグラフィ、冠動脈造影(CAG)、冠動脈CT。薬物治療は発作時には硝酸薬の舌下投与、非発作時には硝酸薬、Ca拮抗薬、β遮断薬、抗血小板薬(動脈血栓を防ぐ)、スタチン。


上室性頻脈性不整脈は洞頻脈、心房期外収縮、発作性上室性頻拍、心房粗動、心房細動。心室性頻脈性不整脈心室期外収縮心室頻拍、心室細動。徐脈性不整脈は洞不全症候群、房室ブロック。その他の不整脈WPW症候群、Brugada症候群、QT延長症候群。


心不全の症状・身体所見は血圧低下、四肢冷感、意識低下、発作性夜間呼吸困難、起坐呼吸、ピンク色泡沫状痰、肺野で水泡音、3音と4音。右心不全の症状・身体所見は頸静脈怒張、肝腫大、下腿浮腫、腹水、胸水。


編集後記

DOCTOR

不整脈は種類が多くてややこしいです。