最近、ストップウォッチで時間を計りながら小説を読むのにはまっています。無粋だと分かっていますが。
今まで時間を気にせず小説を読んできたので、一作品を読むのにどれぐらいかかるのか気になっています。
先日は村上春樹『ドライブ・マイ・カー』を読むのにかかった時間を計測しました。30分でした。
私はいわゆるハルキストではありませんが、今回は同じ村上春樹の『風の歌を聴け』です。
『風の歌を聴け』
全集村上春樹全作品 1979-1989で『風の歌を聴け』を読みました。
村上は1949年生まれなので本作発表時は30歳です。
気怠い空気を漂わせた若者が男と飲んだり女と寝たりします。
読むのにかかった時間は1時間44分でした。
ちなみに、ページ数は全集版で114ページです。だいたい1ページにつき1分です。
フレーズ・メモ
心にとまったフレーズをいくつか抜粋します。
3節
10本の指を順番どおりにきちんと点検してしまわないうちは次の話は始まらない。
6節
放って置いても人は死ぬし、女と寝る。そういうものだ。
15節
「ねえ、もしよかったら一緒に食事しないか?」
彼女は伝票から目を離さずに首を振った。
「一人で食事するのが好きなの」
「僕もそうさ」
「そう?」
18節
「......ねえ、いろんな嫌な目にあったわ」
「わかるよ」
「ありがとう」
彼女は電話を切った。
22節
僕はデートしている間、始めから終わりまで、「ねえ、退屈じゃない?」と訊ね続けていたような気がする。
25節
「この食い物の優れた点は」と鼠は僕に言った。「食事と飲み物が一体化していることだ」
32節
「誰もが知っていることを小説に書いて、いったい何の意味がある?」
39節
素敵な女の子がみんな、
カリフォルニア・ガールならね......。
映画
映画化もされています。
雑感
人生って何だろう? 若者時代は素敵な女の子と遊んでいられればそれでいいのに。
遊び尽くしたら、社会に有為なこともきっとできるのに。
村上春樹は早稲田大学在学中にお金を貯めてジャズ喫茶を開いた。
心躍ることにお金を投じる。
村上春樹はくどくどと心情を説明しない。 それが心地よい。