恒星間ボトルメール

Interstellar Message in a Bottle

泌尿器の病気のお薬(前立腺肥大症、過活動膀胱、ED)

宝島社『医者からもらった薬がわかる 実用ガイドブック』第11章「泌尿器の病気」を参考にして、泌尿器疾患の治療薬に関するTwitter上の言及を拾ってきました。

今日のお薬

商品名 一般名 分類 主な適応
ハルナール タムスロシン塩酸塩 α1受容体拮抗薬 前立腺肥大症の排尿障害
ユリーフ シロドシン α1受容体拮抗薬 前立腺肥大症の排尿障害
ベシケア コハク酸ソリフェナシン 抗コリン薬 過活動膀胱における頻尿
ベタニス ミラベグロン β3受容体作動薬 過活動膀胱における頻尿
バイアグラ シルデナフィルクエン酸 PDE5阻害薬 勃起障害(ED)

今回はすべて錠剤です。

Tweets

ハルナール(排尿促す)

ユリーフ(排尿促す)

ベシケア(蓄尿促す)

ベタニス(蓄尿促す)

バイアグラ

解説

交感神経が優位になれば戦闘モードなので蓄尿する。一方、副交感神経が優位になるとリラックスモードとなり排尿する。

α1受容体とβ3受容体は交感神経の受容体である。よってα1拮抗薬でα1受容体をブロックすると交感神経が下がり排尿しやすくなる。 これは前立腺肥大症における排尿障害の治療になる。

逆にβ3作動薬でβ3受容体を刺激すると交感神経が上がり蓄尿しやすくなる。これは過活動膀胱における頻尿の治療になる。

抗コリン薬は副交感神経の受容体であるムスカリン受容体をブロックする。よって抗コリン薬は副交感神経を下げて蓄尿しやすくする。これはβ3作動薬と同様に過活動膀胱の治療になる。

下部尿路の神経機構についての補足

下部尿路(膀胱と尿道)には下腹神経(交感神経)と骨盤神経(副交感神経)、陰部神経(体性神経)が分布する。

下腹神経と骨盤神経はともに排尿筋と内尿道括約筋の両方を支配する。

神経名 神経分類 神経伝達物質 標的 筋への作用 結果
下腹神経 交感神経 ノルアドレナリン 排尿筋 β3受容体 弛緩 蓄尿
下腹神経 交感神経 ノルアドレナリン 尿道括約筋 α1受容体 収縮 蓄尿
骨盤神経 副交感神経 アセチルコリン 排尿筋 ムスカリン受容体(M3) 収縮 排尿
骨盤神経 副交感神経 NO 尿道括約筋 cGMPを産生 収縮 排尿
陰部神経 性神 アセチルコリン 尿道括約筋 ニコチン受容体(N) 収縮 蓄尿

各治療薬についてまとめる。

筋への作用 結果 まとめ
α1受容体拮抗薬 尿道括約筋 弛緩 排尿 交感神経↓
β3受容体作動薬 排尿筋 弛緩 蓄尿 交感神経↑
抗コリン薬 排尿筋 弛緩 蓄尿 副交感神経↓

α1受容体拮抗薬は内尿道括約筋を開いて排尿させる薬である。蛇口を開くイメージである。

下部尿路の神経の語呂合わせを次に示す。

カッコウ、幸福に引退

カ:下腹神経、コウ:交感神経、コ:骨盤神経、フク:副交感神経、イン:陰部神経、タイ:体性神

PDE5阻害薬に関する解説

cGMPは陰茎の血管平滑筋を弛緩させて勃起を促す。PDE5はcGMPを分解してしまうので勃起の邪魔者である。

PDE5阻害薬は邪魔者の邪魔をするので結局勃起を促進する。

確認クイズ

適切なものを選べ。

β3作動薬は(過活動膀胱・前立腺肥大症)の治療薬である。

参考

  • 立川靖之『医者からもらった薬がわかる 実用ガイドブック』(宝島社、2019年)