読者のみなさんは病院で採血をされたことはありますか? あるいは採血をしたことはありますか?
肘に針を刺されて採血されるのを見るのはあまり気持ちがよいものではありませんよね。
今回は、採血の手技に関して簡単にまとめます。採血が苦手な人には本記事はおすすめしません。
採血の穿刺部位
採血するためには、ふつう肘の皮静脈で静脈穿刺を行う。
上肢の橈側(親指側)には橈側皮静脈が、尺側(小指側)には尺側皮静脈が流れる。これらの皮静脈は肘部で、肘正中皮静脈として交通する。前腕において、橈側皮静脈と尺側皮静脈の間を前腕正中皮静脈が流れ、肘正中皮静脈に注ぎ込む。
これらの皮静脈で静脈穿刺を行う。
ただ、静脈の走行には個人差が大きいことに注意を要する。
静脈採血の流れ
採血の流れはおおまかに下の通りである。
肘の上に駆血帯を巻き、穿刺部位をアルコール綿で消毒し、採血針(翼状針)を穿刺し、逆血を確認する。採血スピッツ(採血管)をホルダーに差し込んで採血する。
採血が終了したら、駆血帯を外す。抜針してアルコール綿で穿刺部を数分圧迫する。
以下の動画で静脈穿刺の方法が解説されている。
こちらの記事に、静脈採血の方法が述べられている。
採血管
血液検査で用いる採血管には検査の種類に応じていくつかのタイプがある。必要な採血管を選んで血液を採取する。
採血管の種類には、たとえば凝固検査用、生化学検査用、血算検査用、血糖検査用がある。今挙げた4種類以外にも様々な種類がある。
用途 | 添加物質 | 色 |
---|---|---|
凝固 | クエン酸Na | 黒 |
生化学 | 血清分離剤 | 茶 |
血算 | EDTA | 紫 |
血糖 | 解糖阻害剤(NaF) | 灰 |
凝固用採血管には抗凝固剤のクエン酸Naが、血算用採血管には抗凝固剤のEDTA(エチレン ジアミン 四 酢酸、EthylenDiamineTetraAcetic acid)が添加されている。
EDTAは下図のように卍に似た構造をもつ化合物である。
こちらの記事に採血管の種類の語呂合わせが掲載されている。
まとめ
採血は肘の皮静脈で静脈穿刺をすることにより行われる。
採血管には多くの種類があり検査に応じて適当なものを選ぶ。各採血管にはその目的に適した添加物質が入っている。
参考
- 『グレイ解剖学 原著第3版』(エルゼビア・ジャパン、2011年) p.583