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神経系 重要疾患10選【広く浅く臨床医学】

今回は、神経系疾患を学習する上で重要な10疾患を取り上げる。

神経系 重要疾患10選

前半

  • 脳卒中
    • 脳血管障害のうち、突然神経症状が表れた状態を総称して脳卒中という。
    • 脳内出血
      • 脳実質内の出血。主な原因は高血圧。被殻出血、視床出血、皮質下出血の順に多い。
    • くも膜下出血(SAH)
      • 動脈瘤の破裂などにより、くも膜下腔へ出血が生じた病態。頭部CTで星型の高吸収域を確認。髄膜刺激症状あり。
    • 脳梗塞
      • 脳動脈の狭窄や閉塞により、灌流域に虚血が起こり、脳組織が壊死した病態。
  • 認知症
    • 認知機能検査(改定長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)やMMSE)を行う。以下に三大認知症を挙げる。
    • Alzheimer型認知症
    • 血管性認知症
      • 頻度第2位。脳血管障害により生じる認知症。段階的悪化を示す。
    • Lewy小体型認知症(LBD)
      • 三大認知症の一つ。神経細胞内に、Lewy小体(α-シヌクレインの凝集物)を認める。繰り返す幻視とパーキンソニズム。
  • Parkinson病(PD)
    • 代表的な神経変性疾患黒質細胞の変性によりドパミン産生が低下。四大症状(安静時振戦、無動、筋強直(固縮)、姿勢保持障害)が現れる。Lewy小体型認知症と関連が深い。

神経系疾患のうち、患者数が多い点で最重要なのは、脳卒中認知症である。平成29年(2017)の『患者調査の概況』1によると、脳血管疾患は111万5000人、Alzheimer病は56万2000人、血管性及び詳細不明の認知症は14万2000人の総患者数を擁する。

認知症のうち、Alzheimer型認知症とLewy小体型認知症神経変性疾患である。

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neuron

後半

  • 髄膜炎
    • 髄膜の炎症。髄膜刺激症状(項部硬直、Kernig徴候)を伴う。
  • 多発性硬化症(MS)
    • 中枢神経系の白質に、炎症性の脱髄性病変が発生。空間的多発と時間的多発が特徴。初発症状は球後視神経炎が最多。視力障害や視野障害が見られる。
  • Guillain-Barré症候群(GBS)
    • 先行感染を伴う、急性発症の末梢神経障害。運動麻痺。脱髄型と軸索型がある。
  • 重症筋無力症(MG)
    • 神経筋接合部疾患。抗アセチルコリン受容体(AChR)抗体が存在。夕方に眼瞼下垂。
  • 進行性筋ジストロフィー
    • 骨格筋の変性・壊死と筋力低下を特徴とする遺伝性疾患。最も頻度が高いのはDuchenne型。Duchenne型は、ジストロフィン遺伝子(DMD、X染色体上)の異常によりジストロフィン蛋白が欠損して生じる。Duchenne型の軽症型がBecker型。
  • てんかん
    • 大脳皮質ニューロンの異常な興奮による発作症状を繰り返す、慢性的な中枢神経疾患。
  • 脳腫瘍
    • 原発性脳腫瘍と転移性脳腫瘍がある。発生頻度が高いものは頻度順に、髄膜腫、神経膠腫、下垂体腺腫、神経鞘腫である。膠芽腫はGrade 4であり、予後が最悪である。

多発性硬化症は中枢神経系の脱髄性疾患である一方、Guillain-Barré症候群は末梢神経系脱髄性疾患である。

重症筋無力症は神経筋接合部の異常であり、進行性筋ジストロフィーは筋そのものの異常である。

まとめ

神経系疾患で重要な10疾患は、脳卒中、三大認知症、Parkinson病、髄膜炎多発性硬化症、Guillain-Barré症候群、重症筋無力症、進行性筋ジストロフィーてんかん、脳腫瘍である。

参考資料


  1. 患者調査は3年に1回行われる。