『心を強くする』
今回は、サーシャ・バイン『心を強くする』(飛鳥新社、2019年)を紹介する。
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著者のサーシャ・バインはセルビア系ドイツ人のテニスコーチである。2017年12月から2019年2月にかけて大坂なおみのコーチを務めた。過去にセリーナ・ウィリアムズのヒッティング・パートナーを務めたこともある。
本書は、バインがなおみのコーチとして働いた経験をもとに、メンタリティを鍛える方法を説いた本である。
心を強くする方法
テニス選手は、試合において衆人環視の環境でベストなパフォーマンスを発揮するために、心を強くすることが求められている。
本書には、バインがなおみをメンタル面で鍛えるために実践したポイントや、自らがコーチとしてのキャリアを築く上で意識したポイントが豊富に紹介されている。
たとえば、なおみが渋谷・スクランブル交差点で罰ゲームとしてダンスを踊ったエピソードが紹介されていた。人前で恥ずかしいことをして、何事にも動じない度胸を得ることが狙いだったという。
ルーティンを作ることや、深呼吸でリラックスすること、SNSと距離をおくことでプレッシャーやストレスを和らげるよう、アドバイスもしていた。
また、成功のために利己的に振る舞わないと行けない場面では、嫌われる覚悟で決断を全うすべしと述べている。
自分を成長させる良い嫉妬を大事にして自分のレベルを高めること、自分の価値を決して安売りしないことも重要である。
コーチが選手と関係を結ぶときには、まず自分から秘密を共有することで選手の信頼を得るのが大事であるという。このやり方は一般的な対人関係にも適用できる。
なおみとバインの選手-コーチ関係
大坂なおみは2021年12月現在、7つのタイトルを獲得している。サーシャ・バインがコーチを務めていた2017年12月~2019年2月の期間で、1つ目から3つ目のタイトルを勝ち取っている。
なおみの初優勝は2018年3月のインディアンウェルズだった。次に、全米オープン2018の決勝でセリーナ・ウィリアムズを下して、グランドスラム初優勝を遂げている。さらに、翌年初頭の全豪オープンでも優勝し、グランドスラム2勝目を挙げた。
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なおみはバインとの二人三脚で輝かしい成績を収めた。
まとめ
『心を強くする』は、なおみを1年余りの期間でグランドスラム2勝のトップ選手に押し上げたテニスコーチ、サーシャ・バインの著書である。本書から、厳しいプロの世界で成功を収めるための思考法を学ぶことができた。
参考資料
WTA Tour『Sascha Bajin』(https://www.wtatennis.com/coaches/1633422/sascha-bajin)2021年12月7日閲覧