恒星間ボトルメール

Interstellar Message in a Bottle

月食の本影の大きさを計算する

今日の夕方、皆既月食に限りなく近い部分月食が日本で観測できます。月食は必ず満月の時に起き、そのとき天体の位置関係は、太陽―地球―月となっています。太陽が地球を照らしてできる影に月が公転により入り込むと、月食が起きます。地球の影には、本影と半影の二種類があります。皆既月食や部分月食で月が赤く見える部分は、本影に隠されている部分です。一方、半影は本影ほど暗くないため、半影に月が入り込んでも変化はわかりにくいです。

 

まず月がどの方角の部分から食になっていくか考えます。地球の公転面を、面に直交する方向で北極側から観察するとします。月食の時間スケールにおいて、太陽が地球を照らしてできる影の方向は、宇宙空間において固定されていると考えることができます。また、月は、反時計回りに公転しています。それゆえ、地球から月を観察すると、月は西から東に公転していきます。したがって、月は西から東へ地球の本影に入っていくため、月は東から食になっていきます。

 

次に月の位置における本影の大きさを求めます。まず以下に関係する値を示します。

 

太陽の半径:7.0*10^5 km
地球の半径:6.4*10^3 km
月の半径:1.7*10^3 km

太陽―地球間距離:1.5*10^8 km
地球―月間距離:3.8*10^5 km

 

図1の黒い影で示した部分が本影です。本影は、太陽の光が地球に隠されてまったく届かない領域です。

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図1 太陽・地球・月

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図2 2つの相似な三角形

本影の大きさを求めるときは、相似な2つの三角形を利用します。地球の半径と本影の半径の差をy kmとします。すると、図2で赤く示した2つの三角形の相似関係に着目して、

 

7.0*10^5 : 1.5*10^8 = y : 3.8*10^5

 

が成り立ちます。よってy = 1.8*10^3と求められます。したがって、

 

6.4*10^3 - 1.8*10^3 = 4.6*10^3

 

より、求める本影の大きさは約4600 kmです。月の半径は約1700 kmなので、本影の半径と月の半径の比はおよそ3:1ということになります。

 

以上、地球の本影の大きさを求めました。本日夕方の皆既月食が楽しみです。お読みくださりありがとうございました。