先日、親不知を抜歯してもらった後、抗菌薬(抗生物質)と鎮痛薬を処方してもらいました(図1)。今回は、それらの処方薬についてまとめます。
まず、抗菌薬として処方されたのはサワシリンでした。サワシリンはペニシリン系の抗菌薬で、その一般名はアモキシシリン水和物です。アモキシシリンはAMPCと略されます。
抗菌薬は、その作用機序により、細胞壁合成阻害薬、タンパク質合成阻害薬、核酸合成阻害薬、葉酸合成阻害薬、細胞膜機能障害薬に分けられます。細胞壁合成阻害薬のうちの一グループとして、β-ラクタム系薬があるのですが、ペニシリン系薬はβ-ラクタム系薬に含まれます。
アモキシシリンの構造式を確認すると、たしかにβ-ラクタム環がありβ-ラクタム系であることが分かります(図2)。
鎮痛薬として処方されたのは、ジクロフェナクNaでした。ジクロフェナクNaはNSAIDsの(非ステロイド性抗炎症薬)一種で、その一般名はジクロフェナクナトリウムです。
NSAIDsはアラキドン酸カスケードにおける主要な酵素シクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することにより、プロスタグランジン類の産生を抑制し、鎮痛作用を示します。COXには、COX-1とCOX-2という2つのサブタイプが存在し、COX-2が炎症に関わるとされています。ジクロフェナクはNSAIDsのうちの非選択的COX阻害薬であり、非選択的に両方のサブタイプを阻害します。NSAIDsの中には、選択的COX-2阻害薬も存在します。
ジクロフェナクは、2つのベンゼン環をもち、片方のベンゼン環には2つのClがつき、もう片方のベンゼン環には酢酸のような基がつき、それらのベンゼン環が-NH-で結ばれています(図3)。
以上、抜歯後に処方された薬を簡単にまとめました。本日もお読みくださりありがとうございました。
参考ページ
サワシリン
ジクロフェナクNa