mTORは1番染色体短腕にあるMTOR遺伝子によってコードされるタンパク質です.今回はmTORについて調べました.
mTORはセリン・スレオニンキナーゼの一種です.セリン・スレオニンキナーゼはタンパク質中のセリン(Ser)やトレオニン(Thr)にリン酸基を付加する酵素です.セリンは側鎖が-CH2OHであるアミノ酸であり,トレオニンは側鎖が-CH(OH)CH3であるアミノ酸です.どちらのアミノ酸もヒドロキシ基(-OH)をもち,このヒドロキシ基がリン酸化を受けます.
mTORはMechanistic Target Of Rapamycinの略とされています.TOR(Target Of Rapamycin)とは,マクロライド系化合物であるラパマイシンの標的であるタンパク質,すなわち,ラパマイシンによって阻害されるタンパク質という意味合いです.つまりmTORはラパマイシンによって阻害されるという性質を持ちます.
mTORはリン酸化酵素として細胞内シグナル伝達に関与するようです.
mTORは2549個のアミノ酸からなるタンパク質です.そのタンパク質の構造は図の通りです.αヘリックスが大部分を占めているなか,βシートが一部に集中して存在しています.
mTORをコードするMTOR遺伝子は58個のエクソンからなります.そのDNA配列をゲノムブラウザで確認するとそのコーディング領域の末尾には終止コドンTAAがしっかりありました.また,その3'UTRは1番染色体上の位置11,107,484から始まり,位置11,106,535で終わっていました.その長さは950 bpです.3'UTRの末尾から二十数塩基上流の位置には「AATAAA」という並びがしっかりありました.「AATAAA」はポリAシグナルと呼ばれ,ポリアデニル化の目印になります.
今回はmTORについてウェブ上のデータベースを調べまとめました.
参考ページ
https://www.uniprot.org/uniprot/P42345
https://www.genecards.org/cgi-bin/carddisp.pl?gene=MTOR
https://gtexportal.org/home/gene/MTOR