恒星間ボトルメール

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テニスツアーで学ぶ高校地理【時差編】

 今月7日にフランス・パリでテニスツアーのパリ・マスターズの決勝が行われます.その開始時間は現地時間15:00の予定です.今回は現地時間15:00が日本時間で何時なのかを計算します.

 フランスは中央ヨーロッパ時間(CET,Central European Time)です.中央ヨーロッパ時間は世界協定時(UTCCoordinated Universal Time)から1時間だけ進んでいるので,UTC+1と表せます.一方,日本は世界協定時から9時間進んでいるので,UTC+9と表せます.したがって,日本時間は中央ヨーロッパ時間よりも8時間進んでいることが分かります.よって,パリ・マスターズの決勝は日本時間で23:00から始まることが分かりました.

 ヨーロッパには主に4種類の標準時があります.4種類の標準時はUTC+0の西ヨーロッパ時間(WET,Western European Time),UTC+1の中央ヨーロッパ時間,UTC+2の東ヨーロッパ時間(EET,Eastern European Time),UTC+3の極東ヨーロッパ時間(FET,Further-eastern European Time)です.実際は,夏時間があるかどうかでさらに細かく分かれます.

 西ヨーロッパ時間を使用するのはアイルランド,イギリス,アイルランドポルトガルを始めとするヨーロッパ西部の地域です.東ヨーロッパ時間を使用するのは,フィンランドバルト三国ウクライナモルドバルーマニアブルガリアギリシャを始めとするヨーロッパ東部の国々です.中央ヨーロッパ時間を使用するのは西ヨーロッパ時間を使う国々と東ヨーロッパ時間を使う国々の間に挟まれた大陸ヨーロッパの大部分の国々です.その中にはもちろん,ドイツ,フランス,イタリア,スペインなどの国々が含まれます.

 パリの経度はおよそ東経2度なので東経15度よりもどちらかというとロンドンの東経0度に近いです.このことを考えるとフランスはUTC+0の西ヨーロッパ時間を採用してもよさそうですが,実際はUTC+1の中央ヨーロッパ時間を採用しています.このことの背景には海峡を挟んだイギリスと時間を合わせることよりも大陸ヨーロッパのほとんどの国々と時間を合わせることのほうがメリットが大きいという事情があるのではないでしょうか?例えば人やモノの移動の場面で,大陸ヨーロッパの国々どうしが同じ標準時を採用しているほうが都合がきっとよいでしょう.

 このような感じでテニスツアー観戦を通して地理の知識を実際に使うことができて,テニスツアー観戦と地理の両方を同時に楽しむことができます.このように世界地理を学ぶことができることもテニスツアーの醍醐味の一つです.