宇多田ヒカルの歌詞には「先読み」,「深読み」,「考えすぎ」という言葉が登場する.今日はこれらをキーワードにして分析を行いたい.
まず,「先読み」は2002年発売の『光』で「先読みのし過ぎなんて意味の無いことは止めて 今日はおいしい物を食べようよ 未来はずっと先だよ 僕にも分からない」と登場する.
次に,「深読み」の1つ目は2008年発売『Celebrate』の「深読みなんかしないで Just enjoy the art of life」という箇所に現れる.2つ目は2018年発売『Play A Love Song』の「深読みをしてしまう君は 不安と戦う」というフレーズで登場する.
そして,「考えすぎ」は2010年に発売された『Goodbye Happiness』の中程で「考えすぎたりヤケ起こしちゃいけない 子どもダマしさ 浮き世なんざ」という形で現れる.
以上のフレーズを総合すると,彼女の歌詞からは一貫して「未来のことや物事の裏を考えすぎるのは止めて今を生きることを味わいなよ」というメッセージが送られている.考えすぎの私にとってはいわゆる「刺さる」歌詞である.宇多田ヒカルの歌を聴いていて何度も「考え過ぎはよくない」というような歌詞が刺さったので,今回具体的にどの歌でどのフレーズが使われていたのかを調べてみた.作詞者のアイディアが言葉を変え十数年の時を越えて何度も現れていたことが興味深い.他の歌詞にも考えすぎに関する言及があるかもしれない.彼女の歌を聴いてまた刺さったらご報告させていただく.